塚林道


〜高倉峠からの眺めが五つ星の林道〜


塚林道(福井県南条郡今庄町〜岐阜県藤橋村)
訪問日:1993年7月、2000年8月


←舟石林道へ 地図へ 冠山林道へ→


福井県の今庄町の東の端、芋ヶ平川に沿って岐阜県境に向かってさかのぼり、高倉峠を越えて岐阜県の藤橋村(旧徳山村)へ下る、かなり山深い雰囲気を味あわせてくれる好ルートである。最初に訪れた時は、峠付近を除いた大部分が未舗装であったように記憶している。峠には腐りかけた3本の杭状の道標、そこの一本には『藤倉谷林道』と書かれていた。藤倉谷は福井県側の芋ヶ平川上流にある谷で、林道はこの谷を経て峠へと到る。現在は『塚林道』と呼ばれているが、『塚』というのは、この林道を下ったところ、R417の終点にある岐阜県側の(かつての)集落の字名である。現在は徳山ダム建設に伴う集団移転により旧徳山村の全集落が廃村となっているので、この『塚』ももう住人はいない。2002年に訪れた時は集落跡に真新しい碑が建てられていた。このあたりについては、本ホームページの『廃村』の項でもう少し詳しく書きたいと思っている。


1993年7月撮影
ここは非常に山深いところだ。岐阜県からのR417はかなり細い。しかしダム工事のダンプがガンガン走っている。徳山村を舞台にした映画「ふるさと」の冒頭のシーンを思い出してしまう。


この林道の福井県側の起点あたりの『芋ヶ平』にも、かつては集落があったらしい。93年に訪れた当時は廃村跡と思われる建物の壁面に、まわりの雰囲気となんとも不似合いな『ハッピーランドへようこそ』などという大きな看板があった。近くに蓮如上人のお墓があるらしく、そのためのものと思われるが、後に訪れた時はもうその建物ごとなくなってしまっていた。


1993年7月撮影
福井県側の起点あたりに蓮如上人のお墓があり、それの関係施設か「ハッピーランド」なるものがあった。名前と実際の風景がアンバランスなので不思議に思っていたが、次の訪問ではなくなっていた。微妙だ。


2000年8月撮影
山肌をぬう林道。言うことなし!これは福井県側の風景です。


さて、その後の塚林道といえば、大部分が舗装されておりかつての荒々しさはほとんど消えてしまっている。しかし独特の山深い雰囲気や、峠から見る山々の風景は相変わらず素晴らしいものがある。アスファルトで舗装された広々とした峠からは、風に揺れるススキの向こうに折り重なるように連なる山々が見える。この風景はもう五つ星である。こういう所でボーっとする。峠に来てよかったなぁ・・、生きてて良かったなぁ・・などと思わせてくれるひと時である。そこで、買ってきた昼食用のピリ辛高菜のおにぎりと午後の紅茶、そして食後の立ちション・・・。もう言うことはない、最高である。ただし、風向きには十分注意したほうがいいだろう


2000年8月撮影
ちいさな滝。そしていかにも奥深く来た、っていう感じの風景。ちょっとしたら崩れてしまいそうな感じだ。


2000年8月撮影
峠は広々としている。きれいに舗装されてしまっているのが残念だ。 峠の碑は、なかなかシンプルでいい感じ〜


峠から林道を岐阜県側に下ると冠山林道の起点にぶつかる。どちらもかなり長い林道であるが、しかし訪れる際はぜひ両方に行かれることをおすすめする。どちらも素晴らしい景色を見せてくれる。この二つの林道は、まだ訪れたことのない時から、地図を見ながら「どんな道なんだろう」「どんな風景があるんだろう」などと、大変気になっていた。廃村好きの私にとって、廃村と廃村を結ぶ林道ということが、何ともいえない魅力だったのである。そして実際に訪れてみて、それはどちらも期待を裏切ることのないものであった。全線未舗装なんて贅沢さえ言わなければ、文句なしである。


※この林道、本当は県外林道なのですが、私が好きな林道なので
林道・廃村滋賀県地図の方にもいれてある次第です。

←舟石林道へ 地図へ 冠山林道へ→
■e−konの道をゆく■