林道牧杉谷線


〜第二名神工事とともに生まれ変わった??林道〜


林道牧杉谷線(滋賀県甲賀郡甲南町〜信楽町)
訪問日:2004年6月


以前の(1993年の)つめた谷林道へ

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『つめた谷林道』と『林道牧杉谷線』、この二つの林道の関係がいまいち把握できていない・・・。なにか痒い場所が見つかりそうで見つからず、非常にむずむずして気持ち悪い感じである。以前『つめた谷林道』を訪れた時は、R307と信楽高原鉄道が交差する少し手前にある起点から入った。入るとすぐに分岐し、右に行くと東海自然歩道、左に行くと『つめた谷林道』となり、左をそのままいくと林道本線となり『新田』の集落に抜けていく、というふうに記憶している。どちらももちろん未舗装であった。しかし前のこの項にも書いてあるように、最近は第二名神の道路工事のために、この起点辺りは全く姿かたちがなくなってしまっている。逆の起点『新田』の方から入るしかない。そちら側に回ると・・・つめた川が流れる所に林道の起点がある。つめた川沿いの林道なのだから当然『つめた谷林道』と考えられるが、これが実はそうではなく『林道牧杉谷線』なのだ。それでは『つめた谷林道』がなくなってしまった、かと思うと、それがそうでもない。地図を見ると『林道牧杉谷線』の北側に一応残っている。しかし既に破線で廃道状態になっている。なんかわけがわからなくなってきたが、まあいい。私はあいまいな己の記憶を信頼して、この二つの林道は別物で、東海自然歩道で結ばれており、『つめた谷林道』は一方の起点しかない廃道状態の林道で、今は『牧杉谷線』と東海自然歩道でつながれている消えゆく道であると考えている。また正しいことをご存知の方は、ご一報いただければ幸いである。


2004年6月撮影
岡南町『新田』側の林道起点。きれいな道がついて、以前のつめた谷林道の起点と同じ場所なのかわからない・・・。下の『つめた谷林道』の写真と比べると、どうしても違うような気がするのだが・・・。


2004年6月撮影
つめた谷川の林道・・・やっぱり『つめた谷林道』??


さて本題の『林道牧杉谷線』であるが、東側の起点は集落『新田』にある。杉谷から新田に向かう道路がやけに立派で太い道がついているが、これも第二名神の影響であろう。途中大規模な橋脚工事が行われており、大型ダンプがひっきりなしに走っている。ここを越えて『新田』を流れるつめた谷川を渡る橋のあたりに、その起点がある。完全舗装である。この起点辺りの田園風景、ゾンビのように立ち並ぶ案山子が面白い。


2004年6月撮影
大規模な第二名神工事。地元の人たちは歓迎なのかな?どちらも甲南町側の様子です。


2004年6月撮影
NIGHT OF THE LIVING DEAD〜ゾンビ・・ではなく、田んぼを守る案山子たちです。


道幅十分な舗装林道をのぼっていく。途中、未舗装路の東海自然歩道が分岐している。おそらくこれが『つめた谷林道』に繋がっているのだろうが、残念ながら車両通行禁止となっている。入ろうと思えば入れるのだが、やはりここは通行禁止を尊重してやめることにした。舗装路をどんどん進んでいくと、甲南町と信楽町との町境に真新しい林道の碑が建っている。そこには「平成12年3月竣工記念」と書かれている。また甲南側と信楽側の総延長は約12kmであることもわかる。


2004年6月撮影
新しい林道ということもあり、見事に舗装された普通の道。林道の定義ってなんなのだろう・・・。道標は古くていい感じ〜


2004年6月撮影
牧杉谷林道はこんな感じだ。低い山を越えて信楽町と甲南町を結ぶ。全線道幅十分で完全舗装。


2004年6月撮影
可愛らしい林道記念碑。微妙だ・・・


また少し行くと、峠の趣のある広い合流点に出る。ここには三重県の滝谷池方面に向かうと思われる未舗装路の支線があるが、残念ながらゲートがかかって入ることができない。美味しそうな未舗装路だっただけに残念だ。


2004年6月撮影
嬉しいことに、支線は未舗装で残されている。この支線は本線に戻ってくる支線。


2004年6月撮影
この三重県に抜ける支線は残念ながらゲートで閉ざされている。


また、もう一本支線が出ておりこれも未舗装であるが、ここに入ると2km程で舗装の本線に戻る。元々はここが本道だったのだろうが、立派な舗装路が貫いてしまったせいで、単なる脇道になってしまったようである。短いがなかなか林道らしい荒れた路面だった。


2004年6月撮影
一旦本線から出て、再び本線に戻る未舗装の支線。適度に荒れた路面の雰囲気はとてもいい感じだが、この道、近いうちに自然に戻りそうな感じである。


2004年6月撮影
おそらく本線工事によって分断された旧道なのだろう。なんとも美しくありませんか?


この後はもう岩倉川に沿ってずっと下っていくだけである。信楽側の起点は『牧』という集落。起点から西に進むと信楽高原鉄道に出合い、やがてR307に合流する。鉄道はもちろん単線だ。踏み切り辺りをウロウロしていると、ちょうど列車が通ったので撮影することができた。本数が少ない田舎鉄道だけにラッキーだった。一両編成で何ともいえないシンプルなボディ。自然の風景の中に、妙にマッチしている。都会の鉄道とは全く別物である。

狸と焼き物の町『信楽』。遠方よりお越しの方は是非ともゆっくりとこの町を見ていただきたい。R307に沿ってずらりと並ぶ焼き物の店、超巨大な狸、無数の狸、大小様々な愛嬌のある狸たちが迎えてくれる。他では味わえないこの雰囲気は見る人の心を楽しくさせてくれる。ついでに焼き物作りでもされてはいかがだろうか。デートなどにもなかなかいいですぞ。「このタヌキ、カワイィ〜」という女性の甘えた声が聞こえてくるようだ。きっとカワイイ女性が言うと様になるのだろう・・・。


2004年6月撮影
峠を越えた信楽側には岩倉川が流れる。水量は少ないが澄んだ水に小魚が見える。


2004年6月撮影
信楽側の林道起点。


2004年6月撮影
林道起点出て少し行くと、信楽高原鉄道に出合う。単線で、いかにも田舎っぽい感じだ。「列車が来ないかなぁ・・」なんて思ってると警報機がなり、幸運にも列車がやって来た。1時間に1本か2本しか通らないのに、ラッキーだった。


それはそうと、この林道の新田側起点の近くから分かれる支線を入った時のこと・・。ここも未舗装でかなり荒れており、なかなか面白かった。どんどん奥に進んでいくと放置車両がある。こういうのはまことに腹立たしい。


2004年6月撮影
甲南町側にある支線。少し行くと、林道でよく見かける放置車両が・・・。


更に行くと、木々が道に覆いかぶさって車の屋根を音を立ててこする。「おいおい、まだ新車なのに・・」なんて少し恨めしく感じる。しかしその木々の隙間からの木漏れ日が実に美しいのでよしとする。車を停めてそれを見ていると、向こうのほうに何かいる・・。じっとこっちを見ている。全く動かない。カメラをズームさせて液晶で確認することができた。それは鹿だった。山で鹿を見るのは珍しいことではないが、この緑の光と影の中に現れた鹿の風景、まるで何か映画の一場面のようだった。美しかった。


2004年6月撮影
さらに行くと、遠く木漏れ日の中に一頭の鹿が・・・。美しい光景だった。


しかしこの鹿も里に下りれば害獣に変わってしまう・・・。農家の方にとっては深刻な悩みである。そんな獣たちが里に下りる必要のない環境を作ってやることが、自然を次々不自然にする我々人間の義務なのだろうが・・・。

林道では動物が主役。迷惑ならないよう控えめに走らないと・・・。


2004年6月撮影
この支線は短いが、走ってて林道を感じさせてくれる、イイ支線だった。最終的には行き止まりになっている。


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■e−konの道をゆく■



ここより下は、以前の(1993年の)つめた谷林道です。




つめた谷林道


〜忍者の町から狸の町へ抜けるショート林道〜


つめた谷林道(滋賀県甲賀郡甲南町)
訪問日:1993年6月


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この林道を訪れたのは今から10年以上も前になる。狸で有名な信楽焼きの町、信楽へ向かうR307と信楽高原鉄道とが交差するあたり、そこを起点として南東にある集落『杉谷』向かって走る3km程の短い林道である。当時は、雨水の流れが路面を大きくえぐったのであろう、路面が大きくえぐれていたり、道端の草木が路面を隠していたりなど、距離が短いことさえ除けば大変林道らしい雰囲気を持った好印象のコースであった。また開放的な感じで、青空を見ながら走ることもでき爽快感を味わうこともできた。


その後長らく訪れていないのだが、先日近くを通る機会があったので様子を見ようと通りかかってみたのだが、そこは第二名神の工事が大規模で行われており、とてもじゃないが林道走行を楽しむという雰囲気ではなかった。「この林道はもうなくなってしまったのだろうか」と思って、最新の地図をみてみると、地図上ではなくなることなく記されており、さらに途中で岩倉川からの他の林道、さらには三重県からの林道と合流して『林道牧杉谷線』と名称を変えているのである。そういえばその頃子の林道近辺を走り回っているときに滝谷池近辺で林道工事をしているのに出くわした。どうやらその林道とつめた谷林道はつながっているようである。これが全部走れるなら、未舗装ならばなかなかのものである。近々必ず訪れなければいけない、と感じるのであるが、心配は第二名神の工事である。次はここに行ってみよう、などと考えている今日この頃である。


1993年6月撮影
林道中間点あたり。道はけっこう割れてましたゾ。


それはそうと、この林道のもう一方の起点である杉谷から南に行くと岩尾池と大沢池という二つの池がある。この岩尾池畔に人気(ひとけ)のない静かなキャンプ場があるのだが、なかなかいい雰囲気である。林道走行の後にこのキャンプ場で一休みするのもいいのではないだろうか。私は、大勢でバーベキューをしてワイワイするのは決して好きではないが、キャンプ場でのんびり食べたり飲んだりするのは嫌いではない。次回ここを訪れた時、訪れてみたいものだ。


1993年6月撮影
甲南町起点から三重県側にあるキャンプ場。静かでいい感じだった。


滋賀県の南東部の土山町、甲賀町、甲南町、信楽町は第二名神の工事で大きく様変わりする地域がある。開通すると観光客なども訪れもっと変わっていくことだろう。町も観光客のおかげで潤う。第二名神が完成することで名神高速の渋滞も緩和される、まさに言うことなしなのかもしれない。実際私も遠方に車で移動するときは必ず高速道のお世話になる。しかし、その一方で確実に自然や古くからの遺産がこわされていく。価値が認められた文化遺産は保護されるが、大部分はそうでないものである。保護される必要のないものとして一くくりにされてしまうのはどうなのだろうか・・・。


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