林道御池線


〜峠、谷、川、見晴らしのある林道〜


御池川林道(滋賀県犬上郡多賀町〜神崎郡永源寺町)
訪問日:2004年6月


以前の(1992年頃の)林道御池線

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この林道に行くのは久しぶりだ。8年ぶりくらいになるだろうか。その間何度か訪れてはみたものの、工事中のために通行止めになっていることが多かった。以前は未舗装部が残っていて、一度走ると車のタイヤが赤土で汚れてしまい、なかなか洗っても取れなかった、と記憶している。今はどうなっているのだろう・・・。


この日は、北側の起点である『霜ヶ原』の集落から入った。ここには林道起点の定番の黄色い看板と古びた白い杭状の道標がある。私は白い杭に書かれた手書きの道標が好きである。どの林道に行ってもこのような道標があったものだが、それも役目を終えて段々見られなくなってきている。起点からしばらく舗装路を上っていくと、見晴らしの良い所に出る。ここからは霞のかかった山並みや、その向こうの琵琶湖を見ることができる。ここを『大見晴らし』というらしい。夕日の風景など、さぞかし素晴らしいことだろう。この日は残念ながら天候が悪く見ることはできなかったが、いつの日かぜひとも見てみたい。ここからの風景は、これまできっと多くの登山客や山仕事を終えた人たちの疲れた心を癒してくれたことと思う。


2004年6月撮影
集落『霜ヶ原』にある林道起点。定番の黄色い看板と白い杭状の道標がある。


2004年6月撮影
舗装路を上っていくと木々の切れ目から山並みと遠く琵琶湖がかすんで見える。この場所を「大見晴らし」というそうだ。


『大見晴らし』を超えて一旦ピークに達した後に道は谷に下っていく。その途中には切った木を運ぶためのワイヤーが張られている伐採工事現場に出合う。そう、ここは林業をするための道なのだ。この日は訪れた時間が遅かったので作業車両に出会うことはなかったが、以前に来た時もよく作業車両と出会ったのを覚えている。こういう林道を走る時は、当ホームページのTOPにある林道5箇条の一つ目「一つ、地元車・仕事車のじゃまするな」に気をつけなければいけない。


2004年6月撮影
木の伐採現場。上には運搬用のケーブルが張られている。ここは林業用の道路なのだ。


この林道は名前からもわかるように『御池川』という川に沿って走る林道である。霜ヶ原から入って最初の谷に下りた所に橋があり、その下を川が流れている。おそらくこのあたりは御池川の源流に近いところだろう。ここをスタートに御池川は林道とともに『君ヶ畑』に至り、その後『蛭谷』『箕川』『政所』の集落を通って愛知川に合流する。今回、河原に下りることはできなかったが、遠くから見ているだけでも水の美しさはよくわかる。林道には川を横切るための橋が何本か架かっているが、そこから見える川は下流に下るほど川幅を広げ水量も増えていく。そして林道を出る頃には十分な幅と水量を持った大人の川になっている。川の成長がよくわかっておもしろい。


2004年6月撮影
林道を走っていると何度か川を渡る。そして渡るたびに川は幅を広げていく。


2004年6月撮影
水量は少ないが水は透明できれいだ。


2004年6月撮影
このあたりでは川幅はかなり広くなっている。河原にも下りてみたかったが時間の余裕が無くあきらめる。


最初の谷を越えて、再び上り道をいくと『ミノガ峠』と呼ばれる見晴らしの良いピークに達する。コーヒーでも飲んで休憩するには最適だ。滋賀県の林道の峠といえば、多くは他府県との県境にあるものが多いが、ここは珍しく県内で行き来する峠である。もちろんスケールでいえば他府県をつなぐ峠と比べ物にならないが、それはそれで峠の雰囲気を味わせてくれる。


2004年6月撮影
広々としたミノガ峠。結構いい感じだ。一本出ている支線は滝谷山に向かって延びている。


このミノガ峠からは一本の支線が出ている。本線が全て舗装されているのに対して、支線は全くの未舗装である。「これは行かねば!」という思いが湧き起こる。実際走ってみると、滝谷山に向かって延びるこの支線、なかなかのものだった。路面は荒れていて、所々路肩が崩れ落ち、雨水の流れによるひび割れも見られる。崖から崩れ落ちた岩や土が路面をふさごうとしている。そしてほとんど植物がない。・・・ということは、削られてまだそんなに経っていないのかもしれない。どこまでいけるのだろうと、不安と期待を抱きつつ進んでいくと、落石、山崩れ・・・。いくつかの難所は越えたものの最終的には倒木によって道が完全にふさがれてしまっていた。まだまだ道が続いており甚だ残念であったが、こればかりは仕方がなかった。


2004年6月撮影
猟銃で撃ちぬかれたと思われる錆びた看板。動物を撃つだけでは飽き足らないのか・・・。これをターゲットに、笑いながら撃っている人間を想像すると何だか不気味だ。もしそうだとしたら、こんな連中に誤射されたくないものだ。


2004年6月撮影
ミノガ峠から延びる林道。見事に程よく荒れた林道。作業用林道だろうか。


2004年6月撮影
路肩は崩れ落ち、最終的には倒木で通行できなくなっていた。


支線と言えば、もう少し南に下がったところに、きちんと『瀬川線』という林道名の看板書の立っている線がある。ここも未舗装である。本線から見ると、遠く山肌を取り巻くように延びているこの林道、以前訪れた時はまだ工事中で少ししか行くことができなかった。今回は時間的に行けなかったが、次回は必ず行こうと思っている。


1992年頃撮影
もうひとつの支線、『林道瀬川線』。こちらは今回はいけず。以前行ったときは途中で工事のため進めなかったが、その後どうなったのだろうか。


そういえばこの林道の半ばで珍しい動物を見た。猫である。普通、猫は珍しい動物ではないが、林道といえば猿、猪、鹿、カモシカ、野うさぎ、野犬そして熊だろう。猫を見たのは初めてだ。野生の猫・・・というのもおかしな表現だが、近くに人家など全くない。捨て猫なのだろうか。じっとこっちを見ている。やせ細って、車が来ても逃げようとしなかった。


2004年6月撮影
なぜか猫がいた。車を恐れず、ずっと座ったままこちらを見ていた。どこから来たのだろう・・・。


林道は木地師の里の集落『君ヶ畑』の奥で定番の黄色い看板とともに終結する。この『君ヶ畑』の集落、いかにも鈴鹿の最奥の山村という雰囲気を持っている。歴史あるこの地、一度ゆっくりと歩いてみたいものだ。


2004年6月撮影
永源寺側から来た場合、最奥の集落『君ヶ畑』。林道起点は、それをさらに奥に入ったところにある。


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ここより下は、以前の(1992年頃の)林道御池線です。




林道御池線


〜木地師の里の奥に広がる林道〜


御池川林道(滋賀県神崎郡永源寺町〜犬上郡多賀町)
訪問日:1992年頃


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この林道は3度ほど行ったがいずれも写真がない。いや撮ったはずなのだがどうしても見当たらないのである。写真以外の記録を取らない私なのでいつ訪れたかもあいまいだ。あいまいな形でここに載せるのは不本意ではあるのだが、取りあえず記憶に残っている部分だけでも載せておくことにした。まあ、このホームページ自体があいまいなのだから、気にしなくてもいいのかもしれないが・・・。


R421(通称:八風街道)を三重県側に向かい永源寺ダムを超えて蓼畑あたりの分岐を北に入る。政所を超え、さらに奥へ行き最終の集落『君が畑』の最奥から御池川林道は始まる。もう一方の起点は多賀町の『霜ヶ原』集落のはずれである。訪れた時は、君が畑から入った。この君が畑という集落は木地師発祥の地として全国的にも有名である(有名のはずだと思うのだが・・・)。木地師とは「轆轤(ろくろ)」という道具で木材を削って木製品を作る人たちのことで、質のいい木を求めて全国の山から山へ渡り歩いていた漂泊の民のことをいう。その元祖が惟喬親王という人だそうであるが、難しいことは興味をお持ちの方で調べていただきたい。


1992年頃撮影
左へ行くと支線の『林道瀬川線』。遠く山肌に見える林道もそれである。


ここは何度か訪れたが、その度に林業の仕事と思われるトラックに出会う。こういう時は、ひたすら遠慮しつつ控えめである。こちらは遊びできているのであるが、相手は仕事なのだ。できるだけ邪魔をしたくないものだ。林道の奥へと入っていって行くと、なぜか未舗装と簡易舗装の路面が短い距離で交互に続く。こういうことは林道ではけっこうあるのだが、何か意味でもあるのだろうか。別に危険なところだけ舗装しているというのでもないようだ。ご存知の方があれば、教えていただきたい。


1992年頃撮影
『瀬川線』にも川が流れている。ここで戯れる親子猿を見た。


途中、谷に下っていく支線があるので行ってみたところ、川で野猿の親子が遊んでいるのが見えた。急いでカメラを持って車から降りたが残念ながらすぐに逃げられてしまった。今では林道とかで野猿を見るのは当たり前のようになってしまっているが、当時は見るのが初めだったので大変驚いたのを覚えている。この支線はすぐに終わってしまったが、工事中だったので今はどこかに繋がっているのかもしれない。本線は赤土の未舗装路と舗装路を繰り返して一旦谷に降り、再び山を越えて霜ヶ原に至る。この林道は、山の中に入っていく林道であるが、視界が開けている部分が多いせいか、山奥深い、という印象はほとんどなかった。あれから10年以上もたっている今ではどうなっているのだろう。近々訪れてみようと思っている。


1992年頃撮影
霜ヶ原側の起点。この頃はまだ未舗装。赤土が印象に残っている。


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