林道国見線


〜ある日、熊さんと出会った、裏伊吹の見える林道〜


林道国見線(滋賀県坂田郡伊吹町〜岐阜県揖斐郡春日村)
撮影日:2000年8月

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クマと出会った。森のクマさんではなく林道のクマさんである。写真撮影をした日からさかのぼること5〜6年前、その時は滋賀県側からアプローチして諸事情で途中で引き返したのであるが、その時にクマを見たのである。かなり道が荒れていて、その時の車が不調続きで信用ならない状態であったので、「引き返そうか・・・」などと考えていたときに5〜6m前に黒い塊が・・・。もぞもぞ動いて、ハッとしてパッと消えた。紛れもなくクマであった。素直に嬉しかった。もちろん車外で出会ったなら嬉しいどころではないのであるが・・・。林道を走っていると獣に出会うことがまれにある。野うさぎ、鹿、カモシカ、野猿、キジ、野犬、はぐれた猟犬・・・、まだ出会ったことのないのが猪とクマであった。いつかは出会いたい!と熱望していたので素直に嬉しかったのである。


2000年8月撮影
岐阜県側からのアプローチ。いくつも集落を超えてどんどん奥へ入っていく。


2000年8月撮影
人気の無いスキー場横のレストラン?近くに林道入り口がある。たぶんシーズン中だけのオープンなのだろう。


この時は、峠まで行くことなく引き返していたので、「いつかは全線走りたい」という思いをずっと抱きつつ、その後も何度かアプローチを試みたのであるが、林道補修工事が始まってずっと通行止めだったため機会を失っていた。それならばせめて岐阜側から攻めて峠まで行ってやろうと思い立ったのが、この写真撮影の時なのである。『林道鳥越線』のところでも書いてあるが、この日は3つの峠を見に行き、最初にアプローチしたのが、この『国見林道』だったのである。


2000年8月撮影
林道に入ると、どんどん標高を上げていく。


林道の岐阜側の起点には予想通り「滋賀県側は通行止め」という看板があった。全線走破は無理だろうと覚悟をした上で峠を目指すことにした。道は舗装されており道幅もそれなりにあるので、特にどうということはない。林道起点付近のスキー場を眼下に見下ろしながらどんどん標高を上げていくうちに、やがて峠にたどりつく。舗装された道といっても、すれ違う車などほとんどなく、まことにあっけなく峠についてしまった。峠にはお決まりの開通の碑と、なにやらこの峠のことを書いた碑がある。それによると、この峠道は歴史ある道でさまざまな伝説もあるらしい。また伊吹(滋賀県一高い山)の野麦峠でもある、とも書かれている。うーん、なるほど・・・、古道の歴史は近いうちに私を虜にしてしまうことだろう。そういえば、この峠からは裏伊吹が美しく見ることができる。この時は真夏ということもあり、モヤがかかってしまっていたが、季節によっては壮大な裏伊吹がくっきりと見れることだろう。


2000年8月撮影
峠の風景。なかなかいい感じ。滋賀県側、岐阜県側どちらも眺望がすばらしい。峠に来た!って感じる、いい峠〜


2000年8月撮影
峠にある碑。その横にはなぜかお坊さんのことばがある。


裏伊吹を見つつ、「伊吹の野麦峠かぁ。」、再び「うーん、なるほど・・・」である。

峠で一休み後は、もしかして滋賀側も通れるかも、というほのかな期待を抱きながら林道を下っていった。もう道は未舗装に変わっている。途中、山菜取りの老夫婦が軽トラで来ているのに出会う。滋賀県側から軽トラが上ってきたので「こりゃ、いけるぞ!」と喜んだのも束の間・・・、目の前にはわざと車を通れなくするように土が道幅いっぱいに詰まれていた。もはやこれまでであった。


2000年8月撮影
どうです、裏伊吹山のこの風景。秋だともっと素晴らしいんだろうなぁ・・、などと考えつつ、峠を越えて滋賀県側へ下る。


2000年8月撮影

滋賀県側はまだ未舗装だった。非常にいい感じ〜。以前熊を見たのはもう少し下だっただろうな、また現れるかなぁ・・・などの期待が膨らむ。


2000年8月撮影
滋賀県側から見た峠。遠くに見えるのがわかるだろうか。


2000年8月撮影
しかし程なく走ると先に先に進むことができなかった。今はこの道もアスファルトなのか・・・


今回も全線走破ができず残念であった。今度通れる時は、普通の道に変わってしまっているのであろうが、再び訪れたい道のひとつであることには変わりはない。






追加 :これより後、昨年この道を、この時と同じく岐阜側から訪れたときのこと。起点付近にある食堂??(スキーシーズンだけの営業かと思われる)の駐車場でコンビニで買ったパンを何も考えずに食べていた。ふとみると一匹の大きな犬がじっとこちらを見ている。やせ細ってはいるが、風格のある犬である。しかし尾は弱々しく下に巻いてしまっている。こんな所に飼い犬がいるはずがない。おそらく猟犬か何かが獲物を追ううちに飼い主とはぐれてしまい、そのままにされてしまったのだろう。尻尾の様子を見るといろいろな辛い目にあったことは間違いない。パンを投げるとおそるおそる近づいてくる。こちらが車から降りると遠ざかる。消えた御主人様を待ち続けているのか・・・。それともこの駐車場の来客からの餌を期待しているのか・・・。林道でボーっとしていると「この辺で犬を見かけなかったか?」とハンターから声をかけられることが時々あるが、この犬は飼い主とどんなドラマがあったのだろう・・・。


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