鵜川村井林道


〜R367(鯖街道)と琵琶湖をむすぶ全線舗装済の林道〜


鵜川村井林道(滋賀県高島郡高島町〜朽木村)
撮影日:1994年8月

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写真はすべて、今はもう見ることのできない『鵜川村井林道』である。

この林道は琵琶湖の西岸を走るR161とR367(鯖街道)をむすぶ林道で、高島町の湖岸の鵜川から少し入ったところを起点として山を越え、途中、黒谷の集落あたりで一旦一般道路に出て再び畑の集落から林道に入り、山腹に掘られた横谷トンネルを通って朽木村の村井まで抜けるものである。撮影したのがかなり前なので、見事なダートが写っているが、今は全線舗装されてしまって当時の荒々しさは全く消えてしまっている。舗装後も何度か訪れているが、どうも写真を撮る気が起こらず、そのため古い写真ばかりになってしまっているのだ。


1994年8月撮影
鵜川側の林道起点。左がそうである。右側はゲートで進入できず。


1994年8月撮影
『鵜川』〜『畑』間は、非常に開放的な林道で常に青空が見える。それにしても古びた道標って何とも味がある・・・。


この当時は、畑の集落から朽木村までは工事中の為入ることができなかったが、R161から黒谷までのルートは、荒々しい路面とマッチした山肌、さらにバックには抜けるような青空、見おろすと眼下には琵琶湖の広がり、というように林道好きの私にとっては誠に申し分のないものであった。しかし荒々しくもろい花崗岩質の路面と山肌では、道としての機能を保つのが困難だったのだろう。舗装されるのもやむを得なかったのかもしれない。


1994年8月撮影
地質は非常にもろそうな花崗岩質?である。すぐに崩れてしまいそうだ。


1994年8月撮影
広がる青空。まさに林道、って感じである。


1994年8月撮影
今はもう無き未舗装路・・・。よかったなぁ、この頃。


それとは対照的に畑〜村井のルートは、大人しい印象である。後にこのルートだけを通った時の天気が曇りだった、というのもあるかもしれないが、普通の山の風景、普通の通りやすい道、人気のないトンネル・・・特にこれといって印象に残るものはない。私にとっては『鵜川村井林道』は、鵜川〜黒谷までのルートのことである。


この黒谷は、その昔は開拓地だったそうである。土質の悪い荒れた地を体をはって耕して現在の地を築いた民がいる。ようやく苦労して耕したわずかな畑も、収穫時期になると野猿にやられてしまい、これまでの苦労も水泡と化す・・・。そんなことを繰り返し、山を降りてしまう人も多かったという。そういえばここでは多くの野猿を見る。たまに気まぐれに訪れる者にとっては野猿は微笑ましく可愛いものなのだろうが、ここで生活している者にとってはそんなことは言っていられない。山間部で生活している人たちにとって野猿は害獣以外の何者でもない。知恵がまわるぶん他の獣たちより始末が悪い。今のような電気の防護柵がなかった昔の人たちにとっては、なす術がなかったことだろう。最も、今でも平気で柵を乗り越えて人間を嘲笑うかのようにしている猿たちの姿を見るが・・・。


1994年8月撮影
林道の中間点の『畑』の集落あたりが見渡せる。空の青、山の緑、道の白、それぞれが合わさって見事なハーモニー〜


2003年9月撮影
刈入れ直前の段々畑の稲。何とも美しくありませんか?


昨年(2003年9月)訪れた時のこと、この林道の鵜川側の起点付近にある段々畑で、刈り入れ直前の稲が黄昏の光の中で黄金色に輝く風景を見た。思わず見入ってしまう光景。自然と脳裏に焼きついた・・・


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