粟柄河内谷林道(滋賀県今津町〜福井県美浜町) |
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ずいぶん久しぶりにここに訪れた。石田川ダムからの角川林道、大きなファミリー向けキャンプ場『家族旅行村』からの酒波林道、箱館山スキー場ゴンドラ乗り場あたりからの林道、それらが合流して粟柄河内谷林道になって山を越えて福井県に至るこの林道、かつては全線未舗装でかなり荒れており、林道の醍醐味を思い切り味わうことができた。しかし今は粟柄河内谷林道以外は全て完全舗装されて、もう昔の面影はほとんどない。 |
2004年7月撮影 |
2004年7月撮影 |
この日は『家族旅行村』のある酒波林道から行くことにした。キャンプ場横を抜けて行こう・・、と思って進んでいくと程なくキャンプ場のゲートが見えてきた。「お?有料道路?」と思ったがそうでもないようだ。しかしそこを通らないと先へは進めない。不思議な気持ちでゲートの方に聞いてみると、キャンプ場の施設管理協力費として、キャンプ場に入る入らないにかかわらず料金を支払わなければならないという。酒波林道終点の広場まで管理されているからだそうだ。私は道を通りたかっただけなのだが、そこもキャンプ場の中、という解釈なのだろうか。そこはもう公道ではなくキャンプ場の扱いというのか。他のスキー場や石田川ダムから入ると、このようなこともなかったのだろうが、元々そこが普通の道で自由に通れたことを考えると、なぜか解せない気分だった。それならば協力費と言うのではなく「通行料」「入場料」としたほうが通る側としては理解しやすいと思うのだが・・・。不可思議な「協力費」だ。 まあ、もめて嫌な思いをするのも何なので、そのまま協力費を支払って酒波林道を進むことにした。函館山スキー場からの合流点を過ぎ、角川林道と合流するところ、そこが粟柄河内谷林道の起点となる(案内地図によるとスキー場からの林道も粟柄河内谷林道となっているので正式にはここは起点ではない)。舗装されたせいか以前に比べるとずいぶん広くなり、芝生がはられて公園のようになっている。休憩所もある。暑い時は、下に見える小川に足をつけるなどして休憩するのもいいだろう。 |
2004年7月撮影 |
2004年7月撮影 |
2004年7月撮影 |
2004年7月撮影 |
ここから福井に向かう粟柄河内谷林道は未舗装だ。路肩が崩れているところがあったりするが、このあたりは概ね道も固く踏みしめられ非常に走りやすい。「谷」というだけあり、横には川が流れており、橋を渡ると右に左に景色は変わる。水量は決して多くはないが、水はきれいで澄んでいる。見ると小さな小魚もたくさん泳いでいる。 |
2004年7月撮影 |
2004年7月撮影 |
2004年7月撮影 |
川の見えるあたりまでは、路面はゴツゴツした石が時折見られるものの、そんなに走りにくいことはない。それが谷を終了して上り坂になるあたりからは一変する。雨水が小さな石や砂などを流してしまったのだろう、ゴロゴロした石がむき出し、水の通り道の溝も目立つ。道巾も広いとはいえない。また。下界を見下ろせるようなポイントも峠手前までは皆無といってもよい、閉鎖的な雰囲気だ。杉林に覆われたうっそうとした林道、というのではないが、荒々しい路面や木々の緑が通行者に押し迫ってくる。そういう印象だ。路肩が崩れてロープが張られている所も何箇所かある。夜間や天気の悪い時など、絶対に走りたくないなぁ、などと思ってしまう。特に峠の手前辺りになると路面状況は最悪である。けっこう尖った大きな石がゴロゴロし、車は最徐行を強いられる。パンクには要注意だ。 |
2004年7月撮影 |
2004年7月撮影 |
2004年7月撮影 |
2004年7月撮影 |
2004年7月撮影 |
といってこの林道に悪い印象は全く持てない。「This is the RINDOU!これこそ林道!」なのである。自然に負けて廃道となってしまってはどうしようもないのであるが、こういう手つかずではあるが走行可能な状態の林道、これこそ林道の魅力だ。しかし、残念ながら滋賀県内では、今となっては貴重な存在となってしまっている。 この林道で唯一下界が見えるポイントがある。谷を上りきって大きく迂回するところ、そこからはわずかではあるがキャンプ場方面を見ることができる。素晴らしい景観、というわけではないが、やはりホッとする。 |
2004年7月撮影 |
2004年7月撮影 |
この日は全線走り切り福井方面まで行くつもりであったのだが、ビューポイントを超えて少し走ったところで路肩が大きく崩れており、これ以上の走行はあきらめることにした。ジムニーあたりであれば行けたのかもしれないが、車幅、車重ともにでかいこの車では無理はしないほうがいい。林道の心得の五つ目「一つ、引き返す勇気を忘れずに」である。まあ、県境を越えてしまったあとはひたすら谷間の舗装路を走るだけなので魅力も乏しく、そんなに残念な思いはなかった。 |
2004年7月撮影 |
2004年7月撮影 |
帰りはのんびりと来た道を引き返し、途中酒波林道からスキー場方面への林道を通って帰った。眼前に見える琵琶湖が疲れた心を癒してくれた。 以前に比べると大きくスケールダウンしてしまってはいるが、やはりこの林道「林道っていいなぁ・・・」と感じさせてくれる。これ以上変わらぬことを心より祈る次第である。 |
2004年7月撮影 |
2004年7月撮影 |
2004年より12年前撮影・・ |
2004年7月撮影 |
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粟柄河内谷林道(滋賀県今津町〜福井県美浜町) |
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この林道は福井と滋賀を結ぶ林道である。滋賀県側は石田川ダムからの角川林道、酒波寺からの酒波林道、それから箱館山スキー場からの林道、そのいずれかの林道を通ってこの林道の起点にたどりつくことになる。訪れた当時はどの林道も未舗装で、全部まわると十分な走り応えを味わえる、滋賀県一の規模といえる林道であった。さらに隣にあるマキノ黒河林道も一緒にまわると、一日はたっぷりと遊ぶことができた。本当に言うことなしだった。しかし今は多くが舗装されてしまい、大きな電化されたキャンプ場までできてしまって、その様子は全く変わってしまっている。 |
1992年8月撮影 |
滋賀県境までは崖と草木にさえぎられる部分が多く、下界を見下ろすひらけた景色のポイントはほとんどない。しかし路面はゴロゴロこぶし大の石が多く転がって適度に荒れており、いかにも「山道を走っている」という気分を味あわせてくれる。また川あり、谷あり、峠あり、そして分岐点には手作りの素朴な道しるべがあったり、など変化に富んで退屈もしない。そして、それぞれの林道がぬけることができる。まだ林道になれない私が初めてここを走った時などは、本当に感動そのものであった。林道の魅力に本格的に取りつかれたのはこの林道で、言うならば私にとっては林道の「故郷」と言えるのである。 |
1992年8月撮影 |
この林道に至る酒波林道の途中に人造湖の淡海湖(処女湖)や湿原などがあった(もちろん今でもあると思うが)。「処女湖」という名に魅せられ訪れてみたところ、なんともうっそうと暗い雰囲気の小さな湖がひっそりとあり、さらに小さなマムシが無数に迎えられた。「なんとも危ない雰囲気の処女やなぁ・・・」と感じたのを覚えている。しかし、今の世の中「処女」なんて存在するのだろうか。その言葉は、死語になってしまったんだろうか。別に嘆いているわけではないのだが・・・。 |
1992年8月撮影 |
また、この小さな湖には「タンカイザリガニ」という、ここにしか生息しない貴重なザリガニがいるらしい。しかし近年、ここにもブラックバスが放流されてしまって絶滅の危機に瀕しているという…。その生存が過去形にならないことを願うばかりである。これも道路を舗装して一般の車の乗り入れを容易にしたり、大規模なキャンプ場を作ったりなどで、多くの人間が入りこむとができるようになったことが影響しているのは間違いない。多くの人たちがいれば、その中には「ザリガニなんかより釣りを楽しむことのほうが大事だろう」という自分のことだけしか考えない人たちが必ず含まれてしまう。その結果、貴重な自然のひとつが失われることになる。そして失われたものはなかなか取り戻すことができない。やたら観光化することの影響だ。最も嘆くべきは人間のモラルなんだろうが、そういったことが予想される以上、保護すべきものは保護すべく対策を講じておくべきなのだと思う。 |
最初に訪れた時と大きく様変わりしてしまった林道であるが、これ以上変わらぬことを祈っている。 |
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