下呂小坂林道


〜美しい川と紅葉、明るく開放的な林道〜


下呂小坂林道(岐阜県下呂市)
訪問日:2004年11月


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秋の紅葉の季節、この時に是非、信州もしくは飛騨の林道を訪れたく思い、以前よりずっと楽しみにしてプランを練っていた。当初は岐阜県の中腹林道と長野県の滝越併用林道の鞍掛峠を岐阜県側から訪れようと計画していたのだが、あいにくの雨・・・。軟弱な私は雨の時は決して無理をして林道に行くようなことはしない。もちろん小雨程度なら迷うことなく行くのであるが。

この日の雨、そんなにひどくはなかったが、空は思いっきりどんよりしている。そしてそれ以前に数日間雨が続いていたので、林道はかなり水を含んだ状態になってるだろうと思われた。従って当初の予定はあっさりとあきらめて、周辺の普通の道をドライブがてらに紅葉を見ることにした。

R41を北上し、下呂温泉を越えて少し走って東に折れて小坂に向かう。地図によるとこの小坂の奥に紅葉マークがたくさんついている。「きっと紅葉がきれいだろう」と思いこのルートを選んだのである。寂れた温泉街(観光地をイメージしてはいけません)を通り抜けると左手に山村が見える。実にきれいだ。紅葉の赤、黄が少し混じった山と畑が絶妙の色合いを作りだしている。幸いこの頃には雨もあがっていた。


2004年11月撮影
まるで油絵のようなこの風景。畑の一枚一枚が実に美しいです。自然の色はきれいだなぁー!


「そういえばこの奥に林道があったな・・」と思い出したのが『下呂小坂林道』だ。しかし訪れる予定もなかったので十分に下調べができておらず、通り抜けができるかどうかもわからない。とりあえず雨が上がったので行ってみようと思い車を走らせると、未舗装路となり、程なく林道の起点が見えてきた。


2004年11月撮影
ここが小坂側の林道の起点だ。
一本道だから迷うことは無いだろう。

2004年11月撮影
けっこう新しい案内板だ。「鷹の渡り」が見られるらしい。
で、鷹の渡りって??


2004年11月撮影
左の看板はそこそこ古い感じだ。一般車両の通行は遠慮してほしい、などのことが書かれている


案内板には『この林道は、小坂町鹿山と小川大林を結び、小坂側11.3km、下呂側8km総延長19,3kmあります。途中小坂側には観音滝があり、秋には美しい紅葉が楽しめます。町境となる観音峠の見晴台では、遠く濃尾平野が望め、視界の良い日には名古屋のツインタワーを見ることもできます。また9月中下旬に鷹の渡りも見られます。』ということが書かれている。

起点から少しはうっそうとした感じの杉林が続くが、それはすぐに終わってひらけた風景に変わる。このあたりは紅葉は進んでいるものの、まだ「きれい!」と感じるようなことはない。


2004年11月撮影
うっそうとした杉林。植林されている山の宿命だ。だがその風景はそんなには続かず、ホッとする。


そのかわり落ち着きなく、にぎやかなものたちが私を迎えてくれた。小坂猿軍団である。冬支度に入るせいか、モワモワした毛並みがとても温かそうだ。私の姿を見ると、その群れはゆっくりと遠ざかって行った。邪魔をして悪かったと思ったが、猿に通じるはずもない。その時はもう姿を消していた。


2004年11月撮影
ひらけた所で、小さな動く影を発見。
猿の軍団である。


2004年11月撮影
モコモコの毛。気持ちよさそう〜〜


ひらけた感じのフラットダートが心地良い。天気が良ければ最高なんだろうなぁ・・、などと思いつつ先に進んでいくと紅葉が段々と目立つようになってくる。何気に入った林道だが、これはなかなかのものかも・・という期待感を持たせてくれる。


2004年11月撮影
非常にひらけた感じのフラットダートがしばらく続く。山の木々もかなり赤くなっている。


2004年11月撮影
天候が良くなく、山の紅葉に十分な彩度が得られていないのが残念だ・・・。光がほしい・・・。


2004年11月撮影
壊れかけたプレハブ。これも林道では良く見る風景だ。おそらく道路工事の際に使用されていたのだろう。


そしてこの林道は期待を裏切ることはなかった。見事な紅葉が見えてきたのである。黄色と赤とオレンジ、そして視線をかえると黄色と緑と黄緑が、それぞれ見事なグラデーションとなって私の視界に飛び込んでくる。林道横には川が流れているが、遠くて間近に見ることはできない。しかし美しい紅葉の隙間から、その水の透明さを確認することができた。十分な光がなく、どんよりとしたこの天候でもその美しさは十分に感じることができる。天気が良くて、光が重なる紅葉を透かして見せてくれたなら、それはもう最高の紅葉の風景が見れたに違いない。


2004年11月撮影
どうだ、この鮮やかな黄色の葉っぱ!光が弱くてもこれだけ美しく見えるのだ。


2004年11月撮影
黄色から赤へ、緑から黄色へ・・美しき自然の色のハーモニー。林道の下には川が流れている。


2004年11月撮影
これら紅葉の写真は、高画質でお見せできるともっともっと伝わるのだが・・・


2004年11月撮影
川の水も紅葉に負けないほどの美しさ・・。河原に下りてゆっくり見たかったなぁ・・


無数の紅葉が地面に落ち、林道の表面を覆う時、それは別世界が現れる時である。通常道路の色は多くは濁った色のイメージである。しかしこの時は全く違った色合いに変わる。地面が赤やオレンジ色に染まり、天地左右の区別がなくなって一体化する。空を見えなくするような大きな気が頭上を覆っていたとしたら・・・どこを見ても赤、オレンジ、黄色、黄緑・・・この世のものとは思えない美しさを作り出す。

今回は、そこまでの景色を見ることはできなかったが、かなりの美しさを味わうことができ、私はもう大満足であった。大好きな立ちションをすることさえ忘れていたほどだ。


2004年11月撮影
このあたりは黄色と黄緑が主になっていた。
また違った雰囲気だ。

2004年11月撮影
これは林業関係者の小屋のようだ。
現在も使用中って感じで、きれいに手入れされていた。


2004年11月撮影
観音の滝、残念ながら降りる道は通行止めになっていた。


2004年11月撮影
道の色と紅葉、この色合いは想像では描けないナァ〜。吸い込まれるような緑のトンネル。


2004年11月撮影
地面に落ちた紅葉が林道を赤く染める。ここでしか見れない世界だ


2004年11月撮影
落ち葉のじゅうたん。これからがピークを迎えるのだろう。


途中、いくつかの支線があったが今回は時間的な都合で訪れることはできなかった。閉鎖されているものもあるが、通れるものもある。次の機会には是非ともじっくりと探ってみたいものだ。


2004年11月撮影
小ヶ倉林道。そう小ヶ倉林道である。

2004年11月撮影
峠に近いあたりの分岐。このあたり植林された幼木があちこちにあった。


2004年11月撮影
左手の橋を渡ると下呂方面に向かう

2004年11月撮影
空谷山林道の分岐。ゲートがあって通行不能。


またこの林道は起点からほとんどずっと横に川を見ることができる。峠附近でもまだ川を見ることができる。降り続いていた雨のせいだろうか、上流でも十分な水量があった。きれいな透明で、水質も文句なしである。夏など気持ち良いのではないか・・。


2004年11月撮影
林道に沿って川が流れる。
また林道は川を何度か渡っている


2004年11月撮影
峠に近づいても林道横に川が流れる。雨のせいか水量は豊富だった。


峠につく頃には再び雨が降り始めた。おまけにガスがかかって景色などさっぱり見えない。見えたのは観音様と記念の碑、あずまやとトイレだけ・・。濃尾平野やツインタワーはどこだぁー、と叫んでもどうにもならない。なお、この峠は観音峠と言うらしい。観音様があるから観音峠というのか、観音峠というから観音様があるのか、どちらかはわからないが・・。

今回は寂しい限りの峠の風景であったが、ここからの風景は次回の楽しみとしたい。全く予定外で、おまけに入った林道であるが、もう一度必ず訪れたくなる、そんな林道であった。


2004年11月撮影
『観音峠』の風景。ガスのため視界は最悪であった。峠には記念碑と、それに並んだ黄金に輝く観音様が・・・。


2004年11月撮影
この看板の説明によると、秋になるとこの観音峠から、東南アジアや南西諸島などの越冬地へむかう鷹の姿が見られるという。これを『鷹の渡り』といい、御嶽山から金華山方向へ向かって飛んでいくそうだ。


2004年11月撮影
観音峠からの展望図。この日はこれを見て、実際の風景を想像するしかなかった。


2004年11月撮影
洒落たトイレがあった。
中身は想像してください・・ウン


でも、いつ来れるのかなぁ・・・


2004年11月撮影
左の写真は峠から小坂方面に向かう道だ。右の写真は下呂へと向かう道。
峠より下呂方面は全て舗装されていた。


2004年10月撮影
舗装路をずっと下った所に下呂側の起点がある。
左へ行くと小坂、直進すると舞台峠、という表示の案内板がある。舞台峠かぁ・・。


峠から下呂側はきれいに舗装されている。ということは・・近いうちに全線舗装されてしまうのだろうか。そうなると私の大好きな天地左右一体化した紅葉は二度と見れなくなってしまう。

そうなる前に、必ずもう一度訪れる!という誓いとともに、この項、終わりとしたい。


2004年10月撮影
左は、林道途中でであった山鳥クン。かわいいですね。
右の赤いぶつぶつの植物は・・・??調べときます・・。


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