神大滝林道


〜切れ込んだ坂下峠がシンボルの林道〜


滋賀県甲賀郡甲賀町〜三重県鈴鹿郡関町
訪問日:2004年7月


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この林道はずっと以前、那須ヶ原登山の帰りに歩いて通ったことがある。その時は、三重県との県境の坂下峠から大原キャンプ場あたりまで歩いた。道はもちろん舗装されておらず、地面は大きく割れ、とてもじゃないが車で通るというような道ではなかった。ほどんど廃道状態だったのである。ところが最近新しい地図を見ると、それまで破線表示だったこの道が太い線に変わっているではないか。そしてそれまで地図には表示されていなかった『神大滝林道』という林道名が記されていた。その太い線で表された道は坂下峠を越え、三重県に入り一号線と合流している。「おお、これは新たに工事があり林道が通じたのだ」などと喜んでの今回の訪問だ。


私は滋賀県に住んでいる。だからこの日も滋賀県側からのアプローチを試みた。R1の土山あたりからJR草津線方面へ西に向かって延びる道がある。そこを入っていく。車の少ない非常に走りやすい快適路だ。このあたりは茶畑が多く、なかなかいい雰囲気。R1から車で10分ぐらいだろうか、大原貯水池を越えて甲賀町の『神』という集落からその林道は始まる。見ると起点に「神大滝林道」という古めかしい道標がある。ということは廃道状態だったこの道、ずっと前から存在していたようである。登山で訪れた当時、県境の坂下峠は大きく削られており、以前にダンプが往来して工事されていたのかな、とそれとなしに感じられた。それがいつの頃なのかはわからないが、その時にこの道は利用されており、それが永らく使用されずそのまま放置され自然に還ってしまったと思われる。そして新たに舗装工事によって復活し、地図にも載るようになったのだろう。


2004年7月撮影
左の三差路の写真、直進すると甲賀町の中心部へ向かい、手前に行くとR1(国道1号線)にいく。右はこの三差路の林道へ向かう道。起点の道標もこのあたりにある。


2004年7月撮影
真ん中はバスの時刻表だ。だが錆びてボロボロになっている。今はこの停留所、使われていないのだろうか。


起点を進むとすぐに左手に大原貯水池が現れる。この貯水池の西岸を林道は進んでいく。ここで以前よく釣りをしたものだ。オジンくさいといわれるかもしれないが、へら釣りに凝っていた時期があって、県内のあちこちのダム湖をめぐっていた。残念ながら釣果はさっぱりであったが・・。一言で言うと、センスが無かったのである。まぁ、いいだろう。

また、ここには無人のキャンプ場もある。静かでなかなかいい雰囲気だが、ファミリーで来るには少し静か過ぎて不気味かもしれない。私が訪れた時は、お盆休みだというのに家族連れと野宿ライダーのみであった。寂しい雰囲気だった。


2004年7月撮影
ダム湖と呼ぶには少し小さいかもしれない。青い水を湛えた大原貯水池。なんか、けっこう深そう〜


唐戸川からの林道との出合いまでは、高い杉林の中を走ることになる。けっこううっそうとした道だ。また那須ヶ原登山口への道は川を渡って分岐していく。以前登山をした時は、ここから那須ヶ原に登り縦走して坂下峠まで行ったはずだが、このような道の記憶は全く残っていない。久しぶりに訪れたこの日、登山口にはなぜか木製の椅子つきのテーブルが置かれていた。コケだらけでジメジメして、とてもじゃないが座る気はしない。でも、これを置いた人は、きっと気持ちの優しい人なんだろう、と思う。また、こういうことを感じる私も、気の優しい人なんだろう、と思う。


2004年7月撮影
昼なお暗い、杉林〜


2004年7月撮影
まっすぐ行くと那須ヶ原登山口。左は神大滝林道本線


2004年7月撮影
コンクリートの簡易舗装。登山口には何やら看板が・・・


本線は小さな川を右手に標高を上げていく。透明の水の美しい川だ。林道のアスファルトの路面には尖った落石や子犬くらいの落石が目立つが、決して走りにくい道ではない。そして標高が上がってくるにつれて道がひらけてきて、青空の見える開放的な雰囲気へと変わってゆく。


2004年7月撮影
けっこう細かな落石がある林道本線。このあたりは道幅は狭い。右側に川を見ながら進んでいく。


2004年7月撮影
標高をあげるにつれ道幅は広くなる。この日は天気もよく明るい雰囲気〜


落石のある崖を大きくカーブを描いて進んで行き、最もひらけた所に出た時、そこから坂下峠を見ることができた。不自然にへこんだ所、そこが坂下峠である。久しぶりにそこまで行ける!・・・と思った瞬間、眼前には通行止めの看板が・・・。バイクなら楽々すり抜けて行ける。その先は未舗装となっているが、進んで進めないこともない路面状況。でも私は道をふさいでいるゲートをのけてまで車で強引に入るのは好きではない。まあ、この日はこれまでの縁だったんだろう、とすんなりあきらめる。そしてそこで一服の立ちション・・・。至福の一瞬〜。峠を見るのは次の機会にしよう。その時は三重県からのアプローチを試みてみたい。


2004年7月撮影
さらに標高をあげると青空が大きく見え、開放的になってくる。でも落石はけっこうある。


2004年7月撮影
稜線が不自然にへこんだところが坂下峠。

2004年7月撮影

舗装路の終点。現在、車はここまでだ。


2004年7月撮影
情けない通行止め・・・


あまりに見晴らしが良いので眼下の景色を見下ろしていると、舗装された道に何か動いているのが見えた。「お!鹿の親子!」シャッターチャンスをうかがっていると、気づかれたのか急に反転して走り去ってしまった。ずっと下で、はるか遠く離れているはずなのに気づかれてしまった。風に人間の匂いを感じたからだろうか・・・。たいしたものだ。 久しぶりに訪れたこの林道。全面舗装ではあるがけっこういいかも・・・。こういう林道に出会うと、自動車に小さなバイクでも積んで出かけるといいなぁ、などと思ってしまう。なにか無性にモンキーがほしくなってしまった・・・。どうしよう・・・。


2004年7月撮影
眼下に見下ろす林道。ふと見ると、こんなん見えました。


2004年7月撮影

あ!シカだ!感づかれてもた・・


2004年7月撮影

このあたり、けっこうもろそうな地質だ。


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